いよいよ歩き遍路が始まります。
同行者は、弘法大師とＭさんとＩさん、私の同行四人です。
まずは四国入りからです。私は名古屋から新幹線で、関東のお二人と新大阪駅で待ち合わせて
ＪＲの在来線で舞子駅まで移動。この駅は明石海峡大橋の真下にあります。その橋脚を登って高速舞子
のバス停へ。ビルの２０階くらいの高さがあり、バス停から明石海峡が見えています。
ここで高速バスに乗り、淡路島を通って四国へ。明石海峡の眺めは素晴らしかったです。残念ながら
潮の時間のせいか、鳴門の渦潮は見れませんでした。
徳島に入って鳴門西ＰＡで下車。ここから歩き始めます。実は、お二人に比べて私の荷物は明らか
に大きいです。３５㍑のザックを持って来たので、大きく見えるということもあるのですが、やはり
着替えなど持ちすぎました。次回への反省点です。
１番霊山寺までは１５分くらいで到着。事前に調べた通り、寺の前に門前一番街と呼ばれる店が
あります。うどん屋さんもあり、早速うどんで昼食。わかめうどんの大盛で腹ごしらえし、すぐ隣のお店
で巡礼用品を買います。
わかめうどん
と言っても納経帳と納札の２点だけにしました。正直なところ、この先も最後まで続けられるかわかり
ませんし、始めてみて必要と思えば、その時買えばよいと割り切ることにしました。
お店のすぐ隣が１番霊山寺です。山門の前で写真を撮り、いよいよ１番目の寺に入ります。
１番霊山寺山門前にて決意？の１枚
山門をくぐると左手に多宝塔、右手に池があり鯉が泳いでいます。池の奥が大師堂で、本堂は正面の
階段の上にあり、見るからに堂々とした古刹といった感じです。
本堂に向かいますが、作法などがよくわからず、案内書で確認しながらの巡拝です。
ちなみに正しい手順は、
１、山門（仁王門）で一礼し入る
２、水屋で手を洗い口をすすぐ
３、鐘を打つ（打ってよい所だけ）
４、お灯明、お線香をあげ、賽銭を収める
５、本堂で合掌し、読経、氏名等を書いた納札を納札箱に収める
６、太子堂で合掌し、読経、氏名等を書いた納札を納札箱に収める
７、納経所で御朱印帳に御朱印をいただく
８、山門（仁王門）で一礼し退出する
となります。ですが、始めから完璧にとはいきません。学びながら巡拝します。
巡拝の後、初めての御朱印をいただきいささか感動。あと８７回です。
寺を出て、旧撫養街道を歩きます。民家が道の両側に連なりながらも昔の石碑などが散在
していて趣があります。並行する県道鳴門池田線（通称：鳴池線）は距離的には少し短くなる
ものの、車の交通量が多く、危険もあり、何より排気ガスを浴びながら歩きたくはないので
避けました。遍路道は1番から8番までは、この旧撫養街道を辿ります。
３０分で２番極楽寺に到着。朱塗りの山門が鮮やかです。猿が数匹境内を闊歩していました。
２番極楽寺
本堂と大師堂は右奥の少し小高いところにあります。巡拝し、境内を散策すると大きな杉の木が
あります。案内板によると、弘法大師のお手植えで、「長命杉」の名の通り樹齢１，１００年以上だ
そうです。確かに見事です。
山門を出て、３０分で３番金泉寺に到着。手前１５０ｍの畦道の遍路道は、草が繁茂し、細長い草の
種子がズボンや袖などにくっついて取るのが大変でした。この時期でこうなのですから、秋口あたり
だともっとひどいことになっていたでしょう。
「四国遍路を世界遺産に」という大きな看板がありました。私も応援したいと思います。
３番金泉寺
畦道から来たため、山門から入らずに本堂へ行ってしまいましたので、改めて山門をくぐり直しました。
この寺の山門も朱塗りで綺麗な色でした。ちなみに境内には「弁慶の力石」と呼ばれる大きな岩があり
ました。正直、これを持ち上げれたとは思えませんでした。
余談ですが、納経所の方は大変親切でした。
山門を出て、徒歩でしか通れない道を進みます。途中の愛染院で、接待で置いてあるお茶
と菓子をいただき休憩。これが歩き遍路の醍醐味です。また、八十八か所の寺以外の場所も
良い所があるのだなと再認識。休憩で疲れた体にエネルギーが戻り出発。切通しの小さな峠
を越え、町並みから離れて阿讃山脈方面に向かい、１ｋｍほど進むと４番大日寺に到着。ここは
周りを森の木々に囲まれ、山中の冷厳な雰囲気が漂う所です。ここの駐車場で初めて観光バス
を見ました。
４番大日寺
山門はここも朱塗りで、２階は鐘楼になっています。山門から本堂までは細長い参道が
続き、石段の先に本堂があります。
寺を出るとすでに時刻は１５：４５。日が暮れ始め、肌寒さを感じます。途中で道を
間違えたものの、３０分で５番地蔵寺に到着。と思ったらここは隣の五百羅漢堂でした。
地蔵寺の奥の院にあたります。ここの境内のイチョウの黄葉が綺麗です。その南に隣接
している５番地蔵寺に向かいます。何とか明るいうちに到着することができました。
五百羅漢堂 ５番地蔵寺
巡拝を済ませ山門を出ると、今夜の宿「森本屋」は文字通り地蔵寺の目の前にありました。
普通の民家のような外観です。旅装を解き、近くのコンビニに買い出しへ向かいます。
この日は丸１日快晴で夕日も綺麗でした。今回は３日間とも晴れの予報で何よりです。
宿に戻って入浴の後、早速宴です。今日１日の振り返りと明日の予定を検討しながら酒が
進みます。この後の夕食も美味しく量もあり、満腹になりました。
丸半日歩いた疲れと多めのアルコールのおかげで、２１時過ぎには爆睡モードで眠りま
した。
２日目
早寝したせいか、全員が６：００には起床。６：３０から朝食。こちらも味、量とも満足でした。
７：１５スタート。今日も快晴です。１時間１０分で６番安楽寺に到着。境内の紅葉が綺麗です。
今年は山の方では紅葉はほとんど見れませんでしたので、初紅葉見物です。
６番安楽寺
大師堂で護摩焚きの場面に遭遇しました。これほど近くで護摩行を見たのは初めてです。
大師堂で護摩行の読経を聞きながら手を合わせました。
ちなみに、ここの境内には宿坊があり、温泉が湧いていて、宿泊者は入れるそうなのです
が、どのようなものなのでしょうか？山門のすぐ横にある宿坊の建物から推測すると、普通
の温泉宿と変わらないような気がします。また、山門の鐘楼でも野宿可とのことです。その
鐘楼に入ってみましたが、確かに装備さえあれば寝泊まりできそうです。
余談ですが、同行者のＩＴＯＨさんは大の温泉マニアで、ここで入浴できなかったことを
残念がっていました。でもこの先にもたくさん温泉はあるようですので、安心？です。
次の７番十楽寺には１５分で到着。山門の上に登れるようになっていてそこには愛染明王
が祭られていました。境内には眼病治癒の仏様があったので、最近目の疲れに困っていること
もあり、祈願しました。
７番十楽寺
この後、当初の計画を変更し、次の８番熊谷寺に行く前に寄り道です。土成ＩＣの前を通り、遍路道
から０．６ｋｍ寄り道したところにある温泉施設の御所の郷へ向かいます。人気のある温泉のようで、
１０時の営業開始前から地元の方が待っています。ゆっくり入浴後、食堂でたらいうどんを注文。
途中で購入したきび餅と一緒に御接待でいただいた赤飯も食べました。
たらいうどんとお赤飯 きび団子はすでにお腹の中
温泉から４０分ほどで８番熊谷寺に到着。仁王門が見事です。阿讃山脈の山懐に包まれて
静かで境内の紅葉も色鮮やかに色づいていました。
風呂上がりのせいか、気温が上がったのか、暑くなってきましたので上着を脱ぎました。
仁王門 仁王像
大師堂前 多宝塔
次の９番法輪寺はこれまでと一転して田んぼの中の寺です。ここの本堂には草鞋が奉納され
ていました。言い伝えで、ここに巡拝した方が杖なしで歩けるようになったとの話があり、願掛けに
来る方が多いのだそうです。今後の遍路のために、足腰健脚のお守りを買いました。
９番法輪寺
参拝後、門前のあわじ庵で草餅とコーヒーを注文、御接待で焼き芋をいただきました。
ここで他の団体の方がぞろぞろとやって来ました。某交通社のお遍路ツアーです。少し嫌な
予感がします。
田んぼの中から山手に向かい１時間ほど歩くと道路に大きな看板があります。
そのほかにも道路にいろいろな看板がありましたので紹介します。
看板４種類（他にもいくつもの種類の道標がありました。）
右手に曲がると店舗がいくつかあり、「お遍路の荷物を預かります。」と書かれた看板も
あります。正直心が動きましたが、自分の荷物は自分で担ぐのが基本と考え、背負ったまま
先に進みます。
小さな門前街を抜けて次第に高度を上げ、高速道路を過ぎたところで３３３段の階段が待ち
構えています。手前で一休みして覚悟を新たに階段登りを始めます。
階段の始まり 三分の一の所
一歩一歩踏み締めながら登ると三分の一ほど登った所に水屋があり手を洗いましたが、
実は違っていて、水かけ地蔵のようでした。残り三分の二は女厄除け坂と男厄除け坂の２つ
に分かれています。意外とあっさりと登り切り本堂に到着。巡拝して御朱印をいただこうと
納経所へ行ったところ、納経帳が積み上げられています。先ほど９番の寺で会った某旅行社
の団体が先に着いていて、添乗員と思しき方がツアー客のために大量の御朱印をもらって
いるところでした。その数ざっと３０。おまけに納経帳だけではなく白衣（判衣）にも押し
ているのでかなり時間がかかっています。（実は私の後ろに並んだ方も大きなバックを担い
でいて、沢山の納経帳を持っていました。この方の後ろにならなくてよかったです。）
１０番切幡寺
３人とも待っていても仕方がないので、交代で本堂より更に上がった場所にある大塔へ
行くことにしました。大塔からは吉野川と、次回挑む焼山寺方面の山を望めます。
手前が吉野川（良く見えないです）
約３０分掛かりましたが無事に御朱印を受け、今夜の宿に向かいます。
約１．５ｋｍ歩きこの日の宿八幡へ到着。ここは旅館とビジネスホテル、そして食事処を
併せていて駐車場も広いです。実は８番札所あたりからこの店の看板がいくつもありました。
コマーシャル看板
泊ったのはビジネスホテル形式ですが、和室タイプの部屋という、さすがに遍路というか
意外な組み合わせの部屋でしたが、綺麗でトイレやお風呂も良かったです。
荷物を部屋に置いてコンビニへ買い出しに出かけた後、部屋で宴会に突入。明日と次回の
行程を検討しました。１８：００を過ぎた所で、同じ敷地内にある食事処に場所を移し、
徳島の地魚とうどん等を注文。ここのうどんは讃岐風の出汁でした。（私はこちらの味の
方が好きです。）うどんに関してはこれからもたくさん紹介できると思います。（特に高松
に近づけば。）
食べ物をシェアしながら飲んで歓談。旅の楽しさここに極まれりといったところです。
天気予報も降水確率０％という、見事に天気に恵まれた３日間となりました。
３日目
廊下で外国の方とすれ違い、挨拶して片言を交わしました。完全に近いお遍路姿について
褒めたら笑っていました。
宿から吉野川までは意外と近く、３０分で到着。この先が吉野川最大の中州、善入寺島に
なります。橋を渡った先には畑が広がり、開放的な風景、コスモスが彩を添えています。
川中島のコスモス畑 農地
この景色だけを見ているととても川中島には見えません。
川島潜水橋を渡ります。（潜水橋とは、川の増水時に橋が水の下（中）に沈むようになっている橋の事
です。高知県だと沈下橋と呼び、徳島県では潜水橋と呼ぶそうです。）
吉野川の水はとても澄んでいます。流木が橋の橋脚に多く引っかかっており、この川の増水時
の流れのすごさを物語っています。
潜水橋
対岸に渡り、堤防に座り振り返ると、昨日まで麓を歩いていた阿讃山脈が見渡せます。
堤防の横に遍路旅用の野宿設備がありました。簡易なものです。かなりしっかりした装備が
ないとこの時期では寒いでしょう。
旧鴨島町に入り国道１９２号を横断。（この次に国道１９２号と遍路道が交差するのは、
６５番と６６番の間、愛媛県と徳島県の県境の境目峠付近になります。そこに辿り着くのは何年後
でしょうか？）
標識に導かれ寺に向かいます。民家の間の狭い道の遍路道を歩きます。この道の一部は、
多分個人の家の敷地内を通っています。
竹林の中を抜けて、今回のゴールの１１番藤井寺へ到着。
石の標識 １１番藤井寺
山門をくぐり、本堂で巡拝。本堂の左横に１２番焼山寺へと続く、遍路ころがしの山道の入口を
確認しました。次回への意欲が湧きます。ですが、半面疲れもピークなので、今回はここで区切り
となりほっとしたのも事実です。
本堂 １２番焼山寺への遍路転がしの道
今回の最後の寺なので、般若心教を唱えました。まだたどたどしいですが、８８番まで
にはもう少し様になっていると思います。
この後に入浴を計画していた「鴨の湯」は、この時期は営業開始が１２時となっていた
ため、まだ１時間以上あります。がっかりです。気を取り直し、ＪＲ鴨島駅へ向かいます。
予定より1本前の列車に乗車、ＪＲ徳島駅へ。ラーメンを食べ、こちらも予定より1時間
早い高速バスに乗り帰路に着きました。
